Pickup🎵

 Muito à vontade(ジョアン・ドナート)

1965年発表。「寛いで」「居心地良く」「心のままに」という意味。ボサノヴァが世界へ広がった後、ドナート独自のレイドバックしたリズム(ドナート・シンコペーション)が確立された時期の名曲です。



 Mar Amar(ホベルト・メネスカル / 海と愛)

1960年代初頭のボサノヴァ黄金期。「Mar(海)」と「Amar(愛する)」というポルトガル語の言葉遊びが効いたタイトルです。リオデジャネイロの海辺で若者たちが風や波、恋を歌った時代の情景。



Velas Içadas(イヴァン・リンス / 揚げられた帆)

 70〜80年代のMPB(ブラジリアン・ポップス)。

時代背景:民主化へと向かうブラジルの「風」
1980年当時のブラジルは、長年続いた軍事政権が終わりに向かい、少しずつ民主化への扉が開き始めていた「開放(アベルトゥーラ)」の時代でした。人々の心に長年の抑圧からの解放感と、未来への希望が芽生え始めた時期であり、作中の「風を受けて立ち上がる帆」は、民主化と自由へ向かうブラジル社会の象徴でもありました。
静けさや荒波を潜り抜け、風をとらえて再び大海原へ漕ぎ出す船の姿が描かれます。直接的な政治批判ではなく、「旅立ち」「風」「海」という美しい情景描写に託すことで、傷ついた人々を優しく包み込みながら前を向かせる力強いメッセージになっています。


「帆を上げて新たな海へ進む」という旅立ちのストーリー。



Os Grilos(マルコス・ヴァーリ / コオロギ)

1967年(英題:The Crickets Sing for Anamaria)。


1. 「Complicado(複雑)」と「Cri-cri(シンプル)」の対比
歌詞は「なぜ人はそんなに頭を悩ませ、物事を複雑(Complicado / Complexo)にするのか?」という問いかけから始まります。1967年当時のブラジルは軍事政権下で緊張感が高まり、人々がイデオロギー闘争や議論に明け暮れていました。歌詞では、難解な議論を展開する人間に対して「コオロギを見てごらん、ただ鳴いてそこにいるだけだよ」と、シンプルに生きることの真実を対比させています。
2. 「Cri-cri」に隠された知的なダブル・ミーニング
コオロギの鳴き声を表す擬音「Cri-cri-cri(クリ・クリ・クリ)」には、ブラジル・ポルトガル語ならではの巧みな掛け言葉が仕組まれています。


コオロギの鳴き声
「細かく批判ばかりする人」「小うるさい人」を意味するスラング(cri-cri)
「難しい理屈をこねてカリカリ・カリカリ(Cri-cri)批判ばかりしている人間こそ、まるでコオロギみたいじゃないか」という、軍事政権下の厳しい検閲(検閲官)を軽やかにかわすためのインテリジェンスな風刺が込められています。


3. 実在した妻「アナマリア」
英題(The Cricketsクリケッツ Sing for Anamaria)にも登場するアナマリアは、当時マルコス・ヴァーリの妻であり、ヴォーカリストとしても活動していたアナマリア・ヴァーリのことです。政治的・社会的な緊張の中、「愛するアナマリア、難しいことは置いておいて、コオロギと一緒に歌おう」と語りかける愛の歌の形をとることで、曲全体のトーンをどこまでもポップでハッピーなものに仕上げています。


「情報が多くて何かと頭でっかちになりがちな現代ですが、今夜は難しいことを全部忘れて、コオロギのようにシンプルに音を楽しみましょう!」

Bossa Nova Duo

Os Grilos オス・グリーロス

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